情報公開制度と個人情報保護制度
2017/11/1
情報公開制度は、1982年4月に山形県金山町によって、初めて条例が制定されました。国の情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)の施行が2 001年ですから、約20年もの間、自治体が国に先行していたことになります。現在では、自治体の情報公開制度は情報公開法25条に基づき自治体の努力義務とさ れており、総務省の調べでは一部事務組合や広域連合を含めてほとんどの自治体で運用が行われています。情報公開条例では、通例、行政文書の開示の手続、非開示等 の決定に対する審査請求の手続などが規定されています。
住民参画機会の拡大とともに、行政運営の透明性を向上させるためにその役割を拡大してきた情報公開制度ですが、技術の発達による電子情報の取扱いや、営利を目 的とした企業からの大量の請求など曲がり角を迎えているといってよい状況です。また、個人情報保護制度は、行政が保有する個人情報の適正な取扱いについて定める 条例で、住民の自己に関する情報をコントロールする権利を具体化する制度と考えられています(それに対し、情報公開制度は、住民の知る権利を具体化する制度と考 えられています。)。個人情報保護条例も、多くの自治体で制定されており、個人情報の適正な取扱いだけでなく、自己情報への本人関与の仕組みも設けられています。
IT社会の急速な進展や国際的な情報流通の拡大などを背景に、個人情報保護の保護と利用の調和が強く求められるようになっています。
今回は、自治体が直面する課題も確認しながら、情報公開制度と個人情報保護制度について議論をおこなっていきましょう。
1: ぷよぷよ
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2017/11/01 21:25:00
情報公開は、「出したくないから」と言う理由で拒むことはできません。基本的には、「出せない理由がないものは出す」ことになります。
「不開示情報」は公開原則の例外ですから、その対象には、法や条例で限定的かつ明確な規定が目指されています。
また、開示・不開示の決定は「申請に対する処分」であることから行政手続条例の定める義務を負いますので、不開示の決定をした場合は、決定通知書にその理由を付記しなければいけません。
なお、非公開情報該当性については、実施機関側に主張・立証責任があるとされた最高裁判例があります(平成6年2月8日)。
2: くすのき
- 2017/11/07 09:56:10 「情報公開条例(制度)」ではありますが、公開の対象となるのは、情報そのものではなく「文書」ですよね。この点について、「情報公開条例」の解釈・運用における基本的な無理解が職員の間にあると思いますね。
3: ぷよぷよ
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2017/11/07 18:11:47
では、「文書」はどこまでの範囲でしょうか。
個人のメモや電子メールなど、具体的な線引きはあるのでしょうか。
4: くすのき
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2017/11/14 16:58:01
その点は、意外とむつかしいですよね。
条例では、
行政文書 実施機関の職員(地方独立行政法人の役員を含む。以下同じ。)が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。
とされています。
今月のまとめ
2018/2/9
個人情報の利活用と保護の両立は大きな問題です。法制度のあり方も定期的に見直される予定です。
情報公開制度と個人情報保護制度のテーマは、回をあらためて今後も開催してまいります。