(続)自治体における押印の見直しについて
2021/4/15
押印は、簡易な確認の手段や一定の形式の証明を行うことなどを目的として、我が国で広く慣習として利用されてきました。
しかしながら、このたびの新型コロナウイルスのまん延により、経済4団体からの対面手続や書面手続(押印を含む)を求める規制・制度の見直しについての要望が取りまとめられ、規制改革推進会議によ る答申を経て、昨年7月に規制改革実施計画が閣議決定されました。
これを受け、昨年12月には、様式から押印が廃止される省令が公布されはじめるとともに、内閣府から自治体向けに押印の見直しに関する資料も提供されました。新型コロナウイルス感染症対策を契機と して、従来からの検討事項であった行政手続における書面手続きが大きく見直されようとしています。
令和3年通常国会に提出されてるデジタル社会形成関係法律整備法の中で、48法律の一括改正も予定されています。年度内に押印見直しの対応を終えたところかとおもいますが、押印廃止後のデジタル化 や訂正印の取扱いなど課題もありそうです。もう少しだけ押印の見直しについて、議論を行っていきましょう。
今月のまとめ
2021/5/13
内閣府のサイトには、押印手続の見直しについて、自治体への情報提供を含めて各種の資料が掲載されています(https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/i_index.html)。
このたびの押印手続きの見直しは、新型コロナウイルス感染症への対策が契機でしたが、その目的は、関係者の利便性の向上であることには論をまちません。
今回の話題の提供時点から各自治体で押印手続の見直しが進みましたが、報道では、庁内手続きにおける押印を廃止したため、新たにゴム印を作成する必要に迫られたことが批判的に紹介された内容も見 るところです(https://www.tokyo-np.co.jp/article/84596)。簡便な確認行為としての押印まで廃止することは妥当であったかは、議論が別れるかもしれません。
対外的な押印の取扱いについても、「廃止すること」自体が目的とならないよう、その効果と目的を慎重に検討して、個別に適切な対処を行う必要があるでしょう。