指定管理者制度の手続的検証
2019/2/7
指定管理者制度は、公の施設の管理を民間団体などへ委託できるしくみです。平成15年に設けられました。
自治体の事務の「委託」の一種なのですが、自治体の現場では、委託とは異質のものと捉える傾向もあるようです。
指定管理者制度の運用における具体的な課題として、「自主事業の実施」が挙げられます。「自主事業」とは、自治体が直営していたときにはなかったもので、民間団体のノウハウや発想による事業や取組のことです。「自主事業」は、制度的なものではなく、実態を捉えた言葉です。
個々の自主事業の内容の法的な問題点は、今回のコモンズで取り上げません。自主事業を実施するに当たっての手続面を法的に検討してみましょう。目的外使用許可が必要であるにもかかわらず、許可手続を得ていない例や、使用料を納付せずに、自主事業を行っている例が多くあります。
そこで、今回は、自主事業を始めとした指定管理者制度の運用実態を手続的な面から、検証してみたいと思います。
1: シナプス
- 2019/03/14 22:01:46 自主事業には、どのようなものがあるのでしょうか。
2: ぷよぷよ
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2019/03/20 21:51:04
「自主事業=目的外使用許可」の意図が見えにくい感があります。
例えば、コンサートホールで、当該施設の指定管理者が年末に第9のコンサートを行う場合、コンサートの開催自体はコンサートホールの目的の範囲内ではないかと思うのですが
3: ぷよぷよ
- 2019/03/20 21:51:28 事業者が事業により利益を上げることについて、会計上委託料とは明確に区分することを求めるのであれば、「コンサートを開催する指定管理者」が「施設を管理する指定管理者」に目的内の使用申請をすることになるのではないでしょうか?
4: くすのき
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2019/03/22 08:14:01
観念的に施設の設置管理目的内かどうかではなく、端的に許可条件に当てはまるかどうかで判断すべきではないでしょうか。
(目的内の)使用許可の類型に当てはまらないものは、施設の設置目的内であろうがなかろうが、目的外使用許可の対象だと考えます。
前のコンサートの例は確かに目的内ですね。
今月のまとめ
2019/04/26
指定管理者制度について、自主事業を中心に議論してきました。民間団体である指定管理者にとっては、自主事業を行う際に、許可手続が必要であることが、
なかなか理解・納得できないようです。
「自主事業」は制度ではありませんので、自治体ごとに意味合いが異なるとは思われます。
しかし、「自主事業」による収入を指定管理者のものとするためには、内容がどのようなものであれ、使用許可あるいは目的外使用許可が必要です。
そもそも、自分が公の施設を利用する場合であっても、許可が必要である。つまり、管理者としての立場と利用者としての立場は別なのだということが理解できていません。
自分が利用する場合に使用料が必要ないと考えている指定管理も相当な割合で存在するようです。
これは、制度の理解を超えた深くて深刻な課題であるとも思えます。公の施設が単なる貸し館ではなく、公共施設であるということについての理解の不足につながっているとも考えられます。
制度が設けられて、15年以上が経過した今、制度の運用状況について、各自治体での再検証が必要となっていると考えられます。