執行機関の種類と相互の連携
2019/5/9
市町村役場のすべての権限が市町村長にあるわけではありません。また、県庁のすべての権限が知事にあるわけでもありません。
例えば、選挙事務は選挙管理委員会という「執行機関」が管理します。これは、選挙事務が公正に行われることを担保するための仕組みです(市町村長や知事も選挙で選ばれますからね)。
このように独立性が期待される業務を所管する仕組みとして、他にもいくつかの執行機関が法律に定められています。逆に言えば、自治体が独自に執行機関を置くことはできません。
このように業務によっては各執行機関の役割が厳格に分担される一方で、他の執行機関やその職員が手助けをする仕組みもあります。ただし、規模の大きくない自治体では、その関係が見えにくくなってしまっている場合もあるかもしれません。
今回は、あらためて執行機関の種類と相互の連携について確認するとともに、行政組織のあり方について気が付いた点があれば意見を交わしていきましょう。
1: ぷよぷよ
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2019/05/20 00:16:07
知事部局・市町村長部局のほか、執行機関として自治体に置かなければならない委員会・委員は、つぎのとおりです。
【都道府県と市町村に共通して置かなければならないもの】
・教育委員会
・選挙管理委員会
・人事委員会又は公平委員会(公平委員会は、その中で限定された業務を行う)
・監査委員
【都道府県に置かなければならないもの】
・公安委員会
・労働委員会
・収用委員会
・海区漁業調整委員会又は内水面漁場管理委員会
【市町村に置かなければならないもの】
・農業委員会
・固定資産評価審査委員会
2: ぷよぷよ
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2019/05/20 00:26:46
先に「知事部局・市町村長部局」と書きましたが、これは。執行機関の知事・市町村長に補助職員が置かれた上での名称です。
委員会・委員にも補助職員が置かれ、一般的には「事務局」の形態が取られます。
3: ぷよぷよ
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2019/05/20 00:31:34
長は、委員会・委員と協議して、長の権限に属する事務の一部を、委員会、委員長、委員若しくはこれらの事務を補助する職員等に委任し、又は補助執行させることができます(自治法180条の2)。
一方で、委員会・委員は、長と協議して、その権限に属する事務の一部(公安委員会の権限に属する事務を除く(自治令180条の3))を、長の補助機関の職員等に委任し、又は補助執行させることができます(自治法180条の7)。
なお、「長 → 委員会・委員」の委任・補助執行は可能ですが、「委員会・委員 → 長」の委任・補助執行は行うことができません。
これは、そもそも委員会・委員の存在が特定の権限について長から独立させる意図によるからでしょう。
4: ぷよぷよ
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2019/06/16 11:37:26
執行機関は、長の所轄の下に相互の連携を図り、すべて一体として行政機能を発揮するようにしなければならないとされています(自治法138条の3第2項)。
また、執行機関が行政の一体的総合的運営を図るため、自治法には、長の専属的権限と総合調整権が規定されています。
(1)長の専属的権限
次に掲げるものについて、委員会・委員は権限を有しません(自治法180条の6)。
・予算の調整及び執行
・議会への議案の提出
・地方税の賦課徴収、分担金・加入金の徴収又は過料を科すること。
・決算を議会の認定に付すること。
(2)長の総合調整権
長は、次に掲げる対象について、それぞれ調整のための権限を有します。
・執行機関の組織 各執行機関の組織、職員の定数又は職員の身分取扱いについて勧告する権限及び協議を受ける権限(自治法180条の4)
・予算 予算について報告徴収し、予算の執行状況の実施調査を行い、必要な措置を要求する権限(自治法221条)
今月のまとめ
2019/10/07
今回のテーマ「執行機関の種類と相互の連携」にご参加いただきありがとうございました。
各執行機関の役割は法律で明確に分担される一方、手助けをする仕組みがあることがわかりました。
委任や補助執行など事務の仕組みを理解することは仕事をする上で大切ですね。次回テーマの設定までしばらくお待ちください!