自治体における弁護士の活用
2020/9/9
民間企業においても法務部門は存在しますが、「法律による行政」を担う自治体において法律の存在は非常に大きいと言えます。しかしながら、採用時に専門試験が実施される例はあるとはいえ、自治体職員は法律の専門家とはいえません。法律に関する対応のために、多くの自治体では弁護士に相談体制を整えています。最近では地方分権が進み、自治体が独自に政策判断を迫られる局面が少なくないことから、役所外の弁護士に委託契約を行うだけではなく、職員として弁護士を処遇する例も多くなってきました。今回は、自治体における弁護士の役割について、職員として活躍する自治体、職員として置くことを検討中の自治体を含め、議論を行っていきましょう。
1: くすのき
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2020/09/12 08:01:52
弁護士を雇用すれば、よいというわけではありませんよね。
・弁護士を雇用するかどうか
・どのような視点で弁護士を選べばよいか
について、弁護士の絶対量が社会の需要を超えている?という背景を踏まえて、検討する必要がありますよね。」
2: ぷよぷよ
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2020/09/14 18:01:19
いわゆる「顧問弁護士」の形態について、契約を締結する自治体もありますが、非常勤特別職の任用とする自治体もあります。
非常勤特別職とする場合、「地方公務員として任命する必要があるか」という点が判断の分水嶺であろうと思います(それが徹底されているかは留保しますが)。
これは、任期付き採用においても同様でしょう。
3: ぷよぷよ
- 2020/09/14 18:03:54 法曹資格者である職員と顧問弁護士との役割分担などいろいろ議論はありそうです。
4: くすのき
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2020/09/16 21:54:23
弁護士をどのように利用するかという方針を決める、言い換えれば、弁護士に何ができるのかを理解しておくことが大切ですね。
弁護士が、自治体の諸問題を解決できると誤解している職員が散見されますね。
5: ぷよぷよ
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2020/09/18 09:27:54
過去の報道では、市長が自らの「ブレーン」として法曹資格者を処遇することが批判的にとらえられた例がありました。
ただ、弁護士に「何を期待するか」は、政策的な判断もあろうとは思うところです。
私が聞いたところでは、契約書の確認や、法務研修の企画や主催など民間企業のインハウス・ローヤーにも期待される役割が要請されるほか、一般質問の答弁書の確認も依頼される例もあるようです。
6: ぷよぷよ
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2020/09/24 19:26:41
大前提として、法的な人的資源の確保について、委託とするか(アウトソーシング)、職員として勤務をお願いするか(自前)は、自治体の体制にも違いがあると思います。このことは、弁護士に限らず専門職について広く言えることですが。
余談ですが、東京都庁には、法曹資格を持つ職員の方が何人もいると聞きます。
7: ぷよぷよ
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2020/09/24 19:27:30
弁護士の任期付き採用は、行政不服審査法の改正時、審理員としての役割の期待が大きく後押しした印象があります。
ただ、日頃の法規部門に所属する立場として庁内の法律相談に関与していると、審理員としての職務に支障が生じる場合も少なくはないでしょう。難しいところです。
8: くすのき
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2020/09/27 10:40:53
自治体の法制担当の中でも、大規模な自治体では、
①例規審査
②文書管理
③法律相談
④訴訟
に分かれています。
任期付き弁護士は、④を担うものだと考えています。
私は、③を任せるのはむつかしいと考えています。
今月のまとめ
2021/1/7
自治体における弁護士の活用について議論してきました。社会において、弁護士が増えているという現状は、必ずしも自治体に助力できるだけの能力を備えた法的専門家が増えていることとイコールではありません。法曹資格者が増えた場合に、全体のレベルはどうなるか、ということを、一般論として考えた場合には、一定水準の弁護士を選択しなければならないということを意味しています。また、それを実感せざるを得ないエピソードも、自治体事務においていくつか発生しています。その意味では、自治体が弁護士の質を見極める段階にきているとも思われます。少なくとも、「弁護士を置くか置かないか」は、それだけでは意味を成さない問いかけではないでしょうか。量的に弁護士が充足されつつある今日、「先生」としてではなく自治体事務の受託者として弁護士に向き合うことも必要でしょう。