規制条例の内容と活用
2016/11/04
地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいてその事務に関し、条例を制定することができます(自治法14条1項)。
条例は、法令で「条例で定める」とされている事項でなくても、地方公共団体の事務に関するものであれば、制定が可能です。平成12年の地方分権一括法の施行により 条例制定権が拡大されたことから、条例を定めることによって、地域の課題を積極的に解決することに期待が寄せられています。
ただし、地域の課題解決に条例を活用する場合は、法令との整合性に留意が必要です。法令に抵触する部分は、その範囲内で無効となるからです。
社会の複雑化と地方分権の推進に伴い、自治体に期待される役割は、ますます大きくなっています。しかも、新たな行政課題も発生しています。そのため、自治体は、 普及啓発や補助金の支出など様々な行政活動を行っていますが、そのうち、住民の権利を制限し義務を課する場合には、条例でそのことを定める必要があります(自治 法14条2項)。
今回は、住民や企業に対し、権利を制限し義務を課する条例、いわゆる規制条例の内容やあり方について議論をすすめて行きましょう。
1: ぷよぷよ
-
2016/11/11 20:23:00
自治法14条2項の「義務を課し、又は権利を制限する」とは、「権力的」な性質を持つ事務といえます。
「権力的」な性質の事務としては、「監視、監督、検査等」「営業等の規制」「施設、設備等の規制」「行為の規制」「作為義務(負担)」などが挙げられます。
また、これらの実効性を担保するために、併せて罰則が定められるものが少なくありません。
2: ぷよぷよ
-
2016/11/11 20:27:55
自治体が条例で規制を行おうとする場合、その対象について「横だし」と「上乗せ」と例えられることがあります。
・横だし … 法令と条例が同一目的で規制を行う場合について、法令で規制を加えられていない項目について規制すること。
・上乗せ … 法令に基づいて規制が加えられている事項について、その法令と同一の目的でそれよりも厳しい規制を定めること。
横出しの例としては、法令では二酸化窒素のみ規制している場合に、条例で二酸化炭素も規制の対象に加える場合などがあり、上乗せの例としては、ある汚染物質の排出基準が法令で3ppm以内とされている場合に、条例で2ppm以内に強化したり場合などがあります(いずれも、法令が規制の追加を許容する趣旨であるかの観点からの判断が必要です)。
3: くすのき
-
2016/11/14 16:26:18
上乗せと横出しでは横出しの方が、適法性、つまり、条例が法律に違反しないとされる場合が多いといわれます。
本当にそうなのでしょうか?
4: ぷよぷよ
-
2016/11/15 22:28:22
「上乗せ」とは、規制の目的が同一であるものをいいます。
この場合、法令で定める内容が全国一律の規制を行う趣旨ではなく、地方の実情に応じた特段の規制を施すことを容認する趣旨であるかの判断が必要です。
これに対し、法令が対象とする範囲以外の領域に関しては、法令がその範囲を積極的に放置していると認められない限り、条例で定めることが可能です。
また、法令と対象が重複しても、法令とは別の目的に基づく規律を意図するものであって、その適用が法令の意図する目的を阻害しないときは、条例制定が可能です。
これらの「横出し」については、「上乗せ」における「法令で定める内容が全国一律の規制を行う趣旨」に比して、判断が比較的容易な場合が多いのではないでしょうか。
5: くすのき
-
2016/11/16 12:11:01
でも・・・。
規制の「項目」であれ、「量」であれ、規制が強化される、つまり、ある行為の規制が強くなるという点から考えると、「横出し」も「上乗せ」の一種ではないでしょうか。
両者の違いは相対的なもののように思えますが、どうでしょうか。
6: くすのき
-
2016/11/18 11:42:52
「横出し」、「上乗せ」は、規制する自治体の側からの、「どのようにすれば法律に違反しない条例が作れるか」という課題から発生した考え方だと思います。
規制される側から見ると、どちらも違いはないのではないでしょうか。
7: ぷよぷよ
-
2016/11/18 20:40:50
ものの例えですからね(^^;
例えとしては、以下のものもあります。
・裾切り … 法令で一定規模または一定基準未満を規制対象外としているときに、その裾切りされた部分を規制対象とする。
・上積み … 規制の上乗せではなく、給付を「上積み」する。
前者については、「上乗せ」や「横出し」の一種として説明されることもあります(宇賀勝也『地方自治法概説』214ページ)。
結局のところ、これらは明確に区分されるものではないでしょう。
余談になりますが、前者は「裾伸ばし」の比喩が本来は正しいのでないかな(^^;
8: くすのき
-
2016/11/21 14:36:31
ぷよぷよさんの言うように、ものの例えですよね。
「上乗せ」とか「横出し」とかいう制度や確立した考え方、そして、そこから生み出される決まった効果があるわけではないことは確認しておかなければならないかもしれませんね。
9: ぷよぷよ
- 2016/11/25 00:44:37 というか、判断がつきやすいものを「横倒し」と言っているのかも(^^
10: ぷよぷよ
-
2016/11/25 00:50:33
実のところ「法令が対象とする範囲以外の領域に関しては、法令がその範囲を積極的に放置している」の判断は、難しい場合が少なくありません
わざわざ法令の内容を上回る条例の規定について「いいですよ」「悪いですよ」と明文で定めていることは稀であるからです
11: くすのき
-
2016/11/28 08:52:17
普通に考えると法律が規制していないということは、「規制しない」という意思の表れですよね。
別の観点から考えます。
国は主権とか、領土とかがありますから、その範囲で規制法を創ることには疑問はないと思います。
でも、自治体は、そこまで確固たる「領域」があるわけではありません。
ということは、具体的に、物理的に、地理的に、共通する課題を持っている地域を確定しなければ条例の対象とすることはおかしいのではないかと思うのです。
つまり、自治体の一部を対象としない、自治体の全域を対象とする規制条例と言うのは、定性的に、法として「おかしい」と考えるのですが如何でしょうか。
12: ぷよぷよ
-
2016/11/29 21:14:04
>法律が規制していない≒「規制しない」という意思の表れ
これは、事例ごとに異なるのではないでしょうか。「積極的な関心がない」状態もあると考えます。
建築基準法の規制に対し、中高層建築物の建設に際し周辺住民への説明を義務づける条例の制定は、法律の関心の外において、自治体が地域の課題解決を行おうとするものといえるのではないでしょうか。
また、いわゆる「危険ドラッグ」の規制も、法の整備が間に合わない時点において、自治体で積極的な課題解決を行おうとするものであるでしょう。
>自治体の全域を対象とする規制条例の是非
法律に定める規制内容が全国一律のものであり、特定の自治体の域内がその想定基準を逸脱するような場合は、その全域を対象とする条例の制定も検討できるのではないでしょうか。
13: くすのき
-
2016/11/30 17:12:25
条例による規制が、住民を守る、つまりは、侵害されている住民の人権と規制対象の権利とを調整するものであれば、その、必要性も納得できるのですが、「まちづくりのため」的な規制条例も多くありますよね。
14: ぷよぷよ
-
2016/11/30 23:06:21
「まちづくり」の定義があいまいなのですが、景観法制定以前の景観条例などでしょうか。
「侵害されている住民の人権と規制対象の権利とを調整する」内容のものであっても、地域の課題解決による住民福祉の向上のためであれば「まちづくり」に該当すると考えられるのではないかと思います。
15: ぷよぷよ
- 2016/11/30 23:07:21 あるいは「理念的」なものを「まちづくり」と呼ぶご意図でしょうか?
16: くすのき
-
2016/12/05 15:00:11
自治体の側で政策的に特徴のあるまちづくりをしたいとか、「○○のまち」で売り出したい、特徴付けたいというような場合ですね。
必ずしも、住民生活が阻害されているいう立法事実がない場合に。
確かに景観系の条例がその例かもしれません。
例えば、最近、少しづつ増えている太陽光パネルの規制条例は、「景観が悪い」ことが制定の動機になっているようですね。
17: ぷよぷよ
-
2016/12/06 19:49:24
確かに、規制の是非についての検討に当たっては、立法事実の存在が不可避です。客観的にどれだけ説明できるかでしょうね。
>太陽光パネルの規制条例
この件に関しても、「景観が悪い」「森林地の伐採が洪水の原因になる」など具体的な立法事実があれば制定は可能でしょう。ただ、既存の法律(例えば、前者であれば景観法)との関係で、条例による規制が妥当であるかは、十分に検討しなければいけません。
理髪店の設置基準として洗髪設備を条例で義務づける例があります。いわゆる「1,000円理髪店」を認めない作為的なものとの指摘もあり、その適否に踏み込むことはしませんが、その制定にあたり、衛生管理における洗髪設備の必要性については、立法事実が積み上げられたはずです。
18: ぷよぷよ
-
2016/12/06 20:02:19
さお、参考書には、以下のようにあります。
-----------------------
「立法事実の確定」は、「作成される政策の基礎にある事実から、法的に意味のある事実を抽出し、立法の観点からその事実を確定する作業」です。
(略)
この作業を行わず、頭の中で抽象的に条例案を作ろうとすると、訴訟になったときに「立法事実に欠ける」ということになり、事後に違憲・違法と判断されかねません。
「立法政策の企画と立案 第2版」(東京リーガルマインド)25ページ
-----------------------
立法事実とは、法律や条例の立法の前提となりその存続を支持する社会的事情のことである。条例制定にあたっては、立法事実が不可欠である。
「政策法務事典」(ぎょうせい)302ページ
-----------------------
19: 北法研 パピコ
-
2016/12/06 23:39:42
ご無沙汰しております。
規制条例については立法事実(規制が必要な事実)と立法事実を
解消、解決するための「義務付け・権利制限の基準(程度)」が
必要と考えています。
私の例ですが、ある物を規制しようと考え規制が必要な事実もし
っかりとしたものがありましたが、どの程度の義務付けとすれば
適当か証明できず断念したことがあります。
立法事実はしっかりしているが、規制内容が違法であるとされる
場合もあると思いますがいかがでしょうか?
20: ぷよぷよ
-
2016/12/07 23:19:10
先に引用させていただいた「政策法務事典」には、一定の社会的問題が発生していない現状ではあっても、未然防止的な対応について自治体の政策的意思が強ければ「財産権に対する制約も合法化される」とあります(302頁)。
ただし、比例原則の適用には注意を要するとした上で、「より権利制約的でない規制手法によって条例目的を達成することができるのであれば、それが選択されるべきであるし、条例制定過程において、そうした比較検討がされるべきである」とあります(302ページ)。
21: ぷよぷよ
-
2016/12/07 23:19:47
>規制内容が違法であるとされる
条例が制定できるのは「法令に違反しない限りにおいて」ですから(自治法14条1項)、条例で定める規制内容が「違法」であれば、その部分において効力は無効となります。
この場合、「違法」の解釈について関係者の理解に齟齬があれば、最終的には司法によって解決されるべきとなります。
ただ、「違法」の是非については、先に私が記述させていただいたとおり、法令を上回る規制を「法が許容しているか」が大事な判断ポイントになります(^^
22: 北法研 パピコ
-
2016/12/09 21:57:46
規制条例の場合、ある行為を禁止するまたは
ある行為もこれ以上になれば規制対象となる
との規制についての線引きがあります。
この判断を1自治体でしなければならないのは
困難であるが実感です。
私の場合、屋外に集積された金属スクラップに
条例規制をかけようと考えましたが、
どれだけの分量に対して規制が必要か科学的
に判断できず断念したことがあります。
規制条例の場合、多かれ少なかれこのような
悩みがあるかと思いますがみなさまどう折り合い
をつけてらっしゃるのか興味があります。
23: ぷよぷよ
-
2016/12/12 21:06:29
ここで例示で出ている「金属スクラップ」は、景観を目的としたものでしょうか、それとも環境保全なのでしょうかね。
いずれにせよ、規制は抑制的であるべきなので、説明のつかない規制はできません。
「科学的な判断基準」の線引きは難しいですが、逆にいえば線引きの基準が見えないものを規制すべきか、という論点はあろうかと思います。
上記の景観であれ環境保全であれ、規制の対象地域に特定のゾーニングを設ける、その中での行為に届出や報告に関する義務を負わせる、などの手法も考えられます。
課題となっている事項に対し、どのような手段をとるべきかは、先に文献から引用したように「比例原則の適用」から検討されるべきでしょう。
24: ぷよぷよ
-
2016/12/12 21:07:31
なお、規制の線引きについては、具体的な数値の設定を規則や告示に委任することも考えられます。
>判断を1自治体でしなければならないのは困難
状況についてお察しします。
自治体の状況はそれぞれであり、例えば、丘陵地が多い自治体と平地が多い自治体は、それぞれ必要とされる開発規制が違うでしょう。
必要であるのは、全国の自治体は1,700あるわけですから、それぞれの動向に目を配り検討を重ねて、時には連携の上で政策の立案を試みる姿勢であるのでしょうね(^^
25: 北法研 パピコ
-
2016/12/14 20:03:46
確かにそうですね。1自治体で悩む必要はないですね!!
いつも的確なアドバイスありがとうございます。
仕事で毎日規制ばかりしていますので(職場の名前も規制課に変りました)
個人的には、13くすのきさんのコメントどおり、
条例規制は「侵害されている住民の人権と規制対象の権利とを調整するもの」
に限るべきではと考えております。
(規制される側の権利保護の視点も規制の立法事実と同じくらい大切)
また、規制条例の立法事実に
「まちづくりなどの自治体の都合が入り込む余地はない」
と思っております。
そう考えると、1自治体で規制条例をつくる必要があるほどの
立法事実は本当はとても少ないのではないでしょうか?
昨今の政策法務の流れからは逆行しますがいかがでしょうか?
26: ぷよぷよ
-
2016/12/15 00:21:42
>規制される側の権利保護の視点も規制の立法事実と同じくらい大切
ご指摘のとおりです
私自身、昨今の「条例で定めれば何でもできる」ととらわれかねない万能論には密かに危惧するところです。
しかしながら、
>規制条例の立法事実に「まちづくりなどの自治体の都合が入り込む余地はない」
には、明確に「否」を唱えます。
規制に関しては、立法事実が必要と既にご説明しました。ただ、法律の制定過程において、懸念すべき対処に係る立法事実がすべて積み上げられるかは疑問があります。
これは、
・急いで対応しなければいけなかったので、細かい点まで煮詰まらなかった
・一部の地域で懸念すべき事項が発生しているのは認識しているが、全国を対象とする法律においては規制の対象に組み込むことができなかった
などの理由が考えられます。
後者の例では、2005年に制定された横須賀市の地下室マンション規制の例が挙げられます。現地を見ると、丘陵地にへばりつくように建設された「脱法マンション(あえて、こう言います)」が、果たして法律が達成すべき目的に添うものであるか疑問がわかざるを得ません。
「脱法〇〇」で連想される様に、法律の網にかからない「危険ドラッグ」の規制について、その範囲に懸念を持つにしても、全面的に否定する考えを持つ方は少ないのではないでしょうか。
27: ぷよぷよ
-
2016/12/15 00:25:45
なお、規制条例について自治体が一丸となって課題に対処した例として、2003年に制定されたディーゼル自動車から排出される粒子状物質の排出の抑制があります。
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
・神奈川県生活環境の保全等に関する条例
・千葉県ディーゼル自動車から排出される粒子状物質の排出の抑制に関する条例
・埼玉県生活環境保全条例
これは、人口密集地の道路事情において、法律の規制が都民・県民の健康と安全を確保するに足る内容でないと判断されたことにほかなりません。
28: くすのき
-
2016/12/15 10:22:56
パピコさんのいう「自治体の都合」とは、住民の具体的な生活とは関係のない、職員や執行機関の「思い入れ」や「自己達成」のための「擬制された立法事実」のことだと思います。
「○○のまちにしたい」という方針だけで、事業者の権利や義務を条例で動かすことはできないはずです。たとえそれが、まちの活性化に繋がるものであっても。
法は人権の調整原理です。観念的な「まちの方針」で人権を規制することはできません。
29: 北法研 パピコ
-
2016/12/15 20:29:43
ぷよぷよさま
規制条例の立法事実に、
「まちづくりなどの自治体の都合が入り込む余地はない」
の趣旨は、くすのきさんの28のコメントのとおりです。
ぷよぷよさんの27コメントにあるような条例を否定している
わけでありません。
私が言いたかったのは、
「条例で定めれば何でもできる」ととらわれかねない万能論に警鐘を
鳴らしたいということです。
話を少し変えさせていただいて、空き家対策条例についてどのように感じて
いらっしゃいましたか?
私は、「うちのまちには条例はいらない」と考えていました。
(民間の問題に自治体が立ち入るべきではない&建築基準法で対応できる)
法律になりましたので「条例は必要だった」と考えることもできますが、
みなさまの所感をお聞かせいただければ・・・
30: くすのき
-
2016/12/19 10:53:18
「立法事実」とは、現実には、何でしょうか。
それは、「住民の声」つまりは、「苦情」だと思います。そのままでは、主観的な利益の主張に過ぎず、条例における「立法事実」にはなりえませんよね。
「声」を正当なものかどうかのふるいにかけて、本当の「立法事実」にして、それに見合った規制手段を条例で規定していくのだと考えます。
「隣の空き家が危険である。なのに、所有者が措置してくれない。」が条例の立法事実になり得たのでしょうか。
所有者を探し、措置を求め、必要に応じて法的手段を採ることを検討するのは、建前としては所有権を主張するものの義務(必要な資格)ではないでしょうか。
31: くすのき
-
2016/12/19 11:22:39
自治体(職員)としては、言いにくいでしょうが、その所有者としての「義務」の存在を伝え、義務を果たすように住民に要求した上で、それでも困難である場合に、「条例制定」なのだと考えます。
空き家条例がその過程を経て制定されたのかどうかは、検証する必要がありますね。
32: くすのき
-
2016/12/20 14:05:07
最近、多くなってきた「太陽光パネルの規制条例」には、以下の定義があります。
「(3) 事業 再生可能エネルギー発電設備の設置を行う事業をいう。」
これを規制の対象としている、つまり、パネルの立地ではなく「事業」を規制しています。条例で、このような、一種の経済統制ができるのでしょうか。
33: ぷよぷよ
-
2016/12/20 17:52:18
>条例で、このような、一種の経済統制ができるのでしょうか。
事業を規制することに立法事実があれば、消極的に解する必要はないのではないでしょうか。
※「危険ドラッグの販売規制」って「経済統制」ですかね
もちろん、「太陽光パネルの規制は、立地の規制をまずは検討すべき」ということであれば、「経済統制」の是非と併せ、上記で私がご紹介した「比例原則の適用」から検討されるべきではありましょう。
34: ぷよぷよ
-
2016/12/20 17:54:17
また、最近の最高裁判決で、京都府条例で定められた風俗案内所規制は合憲とされました。本件は、憲法が保障する「営業の自由」について争われました。
判例DB→http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86341
本件は「立地規制」だからOKと解するべきでしょうか? いや、このように見ると立地規制も営業規制も、規制という地平では同一のように思えます。
35: ぷよぷよ
-
2016/12/22 12:52:26
空き家法の話題に、ちょっと戻ります。
>「うちのまちには条例はいらない」と考えていました
あらら、余計なお世話な法律ができたな、とご感想だったのでしょうか。
確かに、自治体それぞれで条例で対処していた事項に包括的に網がかかることによって、全体的な規制となる懸念は生じます。
※空き家法では、税情報への対処など法律に解決が委ねられていた事項がありますが
「余計なお世話だ!」と適用除外を定める条例を許容するほど法律の「度量」が大きくないのも、多くの場合は事実でありましょう(その是非はさておき)。
36: ぷよぷよ
-
2016/12/22 12:54:07
ただ、地域における規制をどのように所掌するかは、県条例と市町村条例との関係もあるのですね。
※屋外喫煙禁止を県条例で一律に定めることが妥当か
規制とその適用除外について、主体がどうあるべきかは、これから研究が深まるべきと考えます。
今月のまとめ
2017/1/16
条例で規制を行おうとする際は、その対象や内容について妥当性の判断が欠かせません。
今回のテーマでは、「立法事実」についての議論がありました。立法事実とは、「法律や条例の立法の前提となりその存続を支持する社会的事情のこと(『政策法務事 典』より)」をいいます。
条例で定めることができる規制の範囲について、法律に明記されていることは稀ですから(明記の例として、水質汚濁防止法3条3項など)、自治体は立法事実を踏まえ た上で法律が許容する範囲について検討を行う必要があります。現状の法制度が、条例が規制しようとする対象に対しても配慮を行っていることが考えられるからです。
関係者の利害調整のためには、より権利制約的でない手法(ゾーニングによる規制や、届出制の導入など)を検討するなど、比例原則の適用についても留意が必要です。