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自治体コモンズとは

監査委員の役割

2017/4/7

自治体には、長から独立した執行機関として「監査委員」が置かれます(自治法195条1項)。教育委員会などの合議制(複数の委員の合議によって意思決定を行う 制度)である行政委員会と異なり、監査委員は独任制であることから、原則としてそれぞれの監査委員が独立して職権を行使することができます。
監査委員が行う監査は、「一般監査」と「特別監査」があり、一般監査には「財務監査」と「行政監査」があります。
「財務監査」とは、自治体の財務に関する事務の執行と経営に係る事業の管理に関する監査(自治法199条1項)であり、「財務監査」とは、自治体の事務執行に関る 監査(同条2項)です。「特別監査」は「要求等監査」とも呼ばれ、自治法の規定に基づき、特定の者からの請求や要求に基づいて行われます。監査委員のそのほかの 役割としては、①決算の審査(自治法233条2項・3項)、②現金出納の検査(自治法235条の2第1項)、③指定金融機関等の公金収納等の監査(自治法235条の2第 2項)、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく健全化判断比率等の審査(同法3条)などがあります。
今回は、監査委員の役割や業務に関連する事項について確認しましょう。

1: くすのき

2017/04/12 08:41:46 まずは、一般監査で最近指摘された(されそうになって、許してもらったことも含む)ことや、よく、指摘される事項にはどんなものがありましたか。

2: ぷよぷよ

2017/04/13 00:08:51  思いつくのは、伝票の処理間違いでしょうか(汗
 所定の手続き(専決者の規定)の誤りなど、適正な処理が行われていないものが指摘されます。
 このあたりの細かさは、自治体によって違いがあるのかな。

3: くすのき

2017/04/17 14:26:42 専決の誤りについては、そもそも、専決について定めた事務決裁規定(根拠)を確認していない職員が多いのではないでしょうか。

4: ぷよぷよ

2017/04/24 22:14:34 >専決について定めた事務決裁規定(根拠)を確認していない職員が多いのではないでしょうか
手厳しいご意見ですね(^^;
それを自覚させていただけるのも、監査委員の仕事のうちなのかもしれません

5: ぷよぷよ

2017/04/24 22:23:29 監査の方法は、書面監査と実地監査があります。また、必要があれば関係人の出頭を求め、関係人について調査し、関係人に対し、帳簿・書類その他の記録の提出を求めることができます(自治法199条9項、11項)。
監査委員は、合議により監査の結果に関する報告を決定し、これを議長、長、関係機関に報告するとともに、公表しなければいけません(自治法199条9項、11項)。監査の結果に関する報告を受けた議会、長、関係機関は、監査結果に基づいて措置を講じるなどしたときは、その旨を監査委員に通知するものとされており、監査委員は、その通知に関する事項を公表しなければいけないものとされています(自治法199条12項)。

6: くすのき

2017/04/25 14:47:34 法律の上では、執行機関が権限を持っています。行政庁です。しかし、住民訴訟や祖よくいんの支出ミスにおける賠償責任においては専決権者である課長などが責任を問われるしくみになっていますね。
その意味でも「専決」についてのルールを確認することは大切ですね。

7: ぷよぷよ

2017/04/26 22:01:10  長は、職員がその地方公共団体団体に対して損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無と賠償額を決定することを求め、その決定に基づいて期限を定めて賠償を命じなければいけないものとされています(自治法243条の2第3項)。

 くすのきさんがご指摘のとおり、専決権者においては、その責任を十分に留意すべきでしょうね(^^;

8: ぷよぷよ

2017/05/09 23:14:37  監査委員は、財政的援助団体等に対する監査も行います。補助金支出先の団体などが対象となった例を間近に見られた職員の方もいらっしゃるのでは。

 監査委員は、①自治体が財政的援助を与えているもの、②自治体が1/4以上出資している法人、③自治体が元金・利子の支払を保証しているもの、④公の施設の管理を行わせている指定管理者などに対して監査することができます。
 この場合、監査の対象は、財政的援助などに係るものに限られ、事業全般は、監査の対象になりません。これらの監査は、監査委員が必要に応じて行うものは一般監査に、長の要求によるものは特別監査に分類されます。

今月のまとめ

2017/6/14

監査委員は、自治体の健全な財務運営のために、自治法に基づく一般監査や特別監査のほか、自治体の事務・業務の執行や財産状況検査を行っています。監査委員の定 数は、都道府県・人口25万人以上の市は4人、その他の市・町村にあっては2人とされており、条例でその人数を増加することができます(自治法195条2項)。ただし、 委員は複数であっても、冒頭の記述のとおり、独任制の執行機関ですので、「監査委員会」とはいいません。なお、国の会計の検査については、会計検査院が置かれて います(憲法90条)。会計検査院は、行政機関の一種ですが、内閣に対して独立の地位を持ち(会計検査院法1条)、国会や裁判所に従属するものでもありません。
議論の中でも触れられていますが、自治法には職員の賠償責任について規定されています。

・職員が、故意又は重大な過失(現金については、故意又は過失)により物品等を亡失・損傷したとき(自治法243条の2第1項前段)
・予算執行の権限を有する職員が、故意又は重大な過失により、法令に違反し、また、怠ったことにより自治体に損害を与えたとき(自治法243条の2第1項後段)

監査委員との関わり合いから、今一度、皆さんご自身の事務・業務の見直しをしていただけたらと思います。

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